ヴァーグナーの歌劇〈ローエングリン〉は、1848年3月に完成され、友人であるリストの手で1850年に初演されました。作中ではドイツ中世期の伝説にもとづき、神秘的な力を持つ騎士ローエングリンと、悩める高貴な美女エルザとの数々の物語が描かれます。本作でヴァーグナーは、それまでの序曲に代わり、ライトモティーフを展開して歌劇に導く前奏曲の形式を試み、大きな成功を収めました。中でも第3幕の前奏曲の最後に奏される結婚行進曲のモティーフは耳馴染みのある方も多いことでしょう。ヴァーグナーの歌劇のなかでも代表作というべき〈ローエングリン〉の魅力が凝縮された前奏曲をお楽しみください。