"弦楽四重奏"と言えば、2つのヴァイオリンとヴィオラ、チェロの4つの楽器が並びます。弦楽器が4つだから"弦楽四重奏"。わかりやすいですよね。

ではピアノ三重奏は?
ピアノ3台かと思いきや、クラシックではヴァイオリンとチェロ、それからピアノの編成を"ピアノ三重奏"と呼んでいます。「ピアノの入った三重奏」くらいの意味です。ジャズの方でも"ピアノ・トリオ"の編成は多いですが、ジャズでのピアノ三重奏は「ピアノ・ウッドベース(コントラバス)・ドラム」の事を指します。

では、"フルート四重奏"だとどうでしょうか?
弊社からも"モーツァルトのフルート四重奏曲第1番"が出版されていますが、この曲の編成はフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロです。とても華やかで優雅な気分に浸れる素敵な曲ですよ。
だけど、身近にフルート奏者がいたら訊ねてみて下さい。仲間とフルート4本の"フルート四重奏"を楽しんだ事のある奏者も多いはずです。フルート4本編成は全ての楽器が同じ身軽さで動けて、音色も統一しやすいのがメリット。このメリットを活かして作曲された作品は少なくありません。

「ヴァイオリンソナタ」と言えば、ベートーヴェンのクロイツェルソナタのように、ヴァイオリンとピアノで演奏します。本当にヴァイオリン1つだけで演奏する場合にはわざわざ"無伴奏"をつけて「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」と言います。
それくらい、ピアノと一緒に弾くのが当たり前だった、というわけです。

要は「ヴァイオリンが入るのが当たり前」とか「チェロが入るのが当たり前」といった感覚が背景にあるから、「弦楽四重奏」や「ピアノ三重奏」といった名前が断りなく使われているようですね。

他にも"木管五重奏"や"クラリネット五重奏"、なかには"ホルン三重奏"なんていうものまで。それぞれどんな楽器が使われているかわかりますか?

作曲家が持っていた「編成の常識」を、少しずつ広げて知っていくのも、クラシックを身近に楽しむ一つの方法かもしれませんね。